第6回 場合の数(1) の教え方

順列と組み合わせの基本を、樹形図を使って確実に数え上げましょう

📋 この単元の概要

場合の数は「全部で何通りあるか」を数える単元です。中学受験では頻出ですが、多くのお子さまが苦手とする分野でもあります。この回では「順列(並べ方)」と「組み合わせ(選び方)」の基本を学びます。

場合の数を正しく数えるためには、もれなく・重複なく数えることが鉄則です。そのための道具が「樹形図」と「表」です。いきなり公式に頼るのではなく、まず樹形図や表で全パターンを書き出す力を身につけることが重要です。

📌 ポイント

この単元で身につけたい力は3つあります。

  • 樹形図の技術:順序立てて全ての場合を書き出す力
  • 順列の理解:n個からr個を選んで並べる場合の数を求める力
  • 組み合わせの理解:n個からr個を選ぶ(順番を考えない)場合の数を求める力

⚠️ つまずきやすいポイント

1. 順列と組み合わせの区別がつかない

「3人を一列に並べる」(順列)と「5人から3人を選ぶ」(組み合わせ)の違いがわからないお子さまが多いです。順列は「順番が違えば別物」、組み合わせは「順番は関係なし」と理解する必要があります。

⚠️ 注意

「並べる」「順番に」「1番目・2番目」は順列のキーワード、「選ぶ」「グループを作る」「チームを作る」は組み合わせのキーワードです。ただし、キーワードだけに頼らず、「順番を変えたら別の場合になるか?」を常に考えさせましょう。

2. 数え漏れや重複が発生する

樹形図を描かずに頭の中で数えようとすると、数え漏れや重複が起きます。特に数が多くなるとミスが増えます。

3. 「かけ算の原理」が理解できない

「シャツが3枚、ズボンが4本のとき、組み合わせは3×4=12通り」という「かけ算の原理(積の法則)」がなぜかけ算になるのか理解できないお子さまがいます。

📌 ポイント

かけ算の原理は「それぞれの選択が独立している」ときに使えます。シャツ1枚ごとにズボン4本のどれかと組み合わせられるので、3枚分で3×4通りです。樹形図で確認すると理解しやすくなります。

4. 条件付きの場合の数が苦手

「0を含む3桁の整数を作る」のように、百の位に0が来ない(=条件付き)問題でつまずくお子さまが多いです。

🎯 教え方のコツ

1. まず樹形図で「全部書き出す」練習をする

公式を教える前に、樹形図で全てのパターンを書き出す練習を十分にさせましょう。樹形図を描く力は、場合の数のあらゆる問題の基礎になります。

樹形図の例:3人(A, B, C)の並べ方

1番目がAのとき:A-B-C、A-C-B → 2通り

1番目がBのとき:B-A-C、B-C-A → 2通り

1番目がCのとき:C-A-B、C-B-A → 2通り

合計:2+2+2=6通り(=3×2×1=6通り)

2. 順列は「だんだん減る」で教える

4人を一列に並べるとき、1番目は4通り、2番目は残り3通り、3番目は2通り、4番目は1通りなので、4×3×2×1=24通りです。「使ったものは減っていく」感覚を身につけさせましょう。

💡 コツ

順列の計算は「最初の選択肢の数×(1つ減った数)×(さらに1つ減った数)×…」と覚えると、式が立てやすくなります。

3. 組み合わせは「順列÷並べ方」で教える

組み合わせの数=順列の数÷同じメンバーの並べ方の数、と教えるとわかりやすくなります。

組み合わせの求め方

【問題】5人から3人を選ぶ組み合わせは何通り?

まず順列:5×4×3=60通り(選んで並べる場合の数)

3人の並べ方:3×2×1=6通り

組み合わせ:60÷6=10通り

問題が「順列」か「組み合わせ」かを判断する
樹形図または表を使って、もれなく数え上げる
数が多い場合は「かけ算の原理」を使って計算する
条件がある場合は、条件の厳しい部分から先に決める

💬 家庭での声かけ例

問題に取り組む前

💡 コツ
  • 「この問題、順番は関係ある?」 — 順列か組み合わせかを判断させます
  • 「まず樹形図を描いてみよう」 — 全パターンの書き出しを促します
  • 「もれがないか、同じものを2回数えてないか確認してね」 — 正確さを意識させます

つまずいているとき

声かけ例
  • 「A, B, Cって名前をつけて、実際に並べてみよう」 — 具体的にやってみさせます
  • 「最初に何通り選べる?次は?」 — 段階的に考えさせます
  • 「ABCとBACは同じ?違う?」 — 順列と組み合わせの違いを確認
⚠️ 注意

場合の数は公式に頼りすぎると応用が利きません。少ない数で樹形図を描き、その結果が公式と一致することを確認する体験を重ねさせましょう。「なぜかけ算で求まるのか」を実感として理解することが大切です。