EPISODE 2

だい2「おしろすくえ!わりざん挑戦ちょうせん

霧の中に浮かぶ割り算の城

かずもりけると、まえおおきなおしろがそびえっていた。

いしでできた立派りっぱなおしろかべには数字すうじ記号きごうがきれいにられていて、とうさきには「÷」のかたちをした風見鶏かざみどりがくるくるとまわっている。

——はずだった。

「ひどい……」

ハルはいきをのんだ。

しろきりつつまれ、あちこちがくずれかけていた。かべきざまれた数字すうじはぼやけてめなくなり、もん半分はんぶんしかひらいていない。城壁じょうへきのところどころに、ぐにゃりとねじれた亀裂きれつはしっていた。

「カオスのきりが、ここまでてるんだ」

ピコがかたうえこえとした。

「このしろは『わりざんしろ』っていうの。かずひとしくけるちからっている場所ばしょなんだけど、きりのせいでけるちからがうまくはたらかなくなって、おしろくずれてきてるの」

* * *

しろもんまえくと、ちいさなかげがひとつ、すわんでいた。

まるからだみじか手足てあしあたまうえに「÷」のかたちをしたとんがり帽子ぼうしをかぶっている。がくりくりとおおきくて、どこかたよりなさそうな表情ひょうじょうだった。

🤖
ワリン(わりざんしろばん
しろまもちいさな番人ばんにん几帳面きちょうめん真面目まじめだけど、きりのせいで自信じしんをなくしている。

「うぅ……もうダメだ、おしろがどんどんこわれていく……」

「ワリン!」ピコがんでいった。「大丈夫だいじょうぶ? たすけにたよ!」

ワリンはかおげた。

「ピコ!? そのは……」

人間にんげん世界せかいからてくれた、ハルちゃんだよ!」

ワリンはハルをじっとつめてから、ちいさくあたまげた。

てくれたの……ありがとう。でも、正直しょうじきにいうと、状況じょうきょうはかなりわるいんだ。おしろなかにはみっつのとびらがあるんだけど、ぜんぶきりざされてしまった。とびらけるには、わりざん問題もんだいただしくかなきゃいけない」

「わりざん問題もんだい……」

ハルはごくりとつばをんだ。わりざんきらいじゃないけど、得意とくいでもない。とくに「あまり」がてくると、よくまちがえてしまう。

大丈夫だいじょうぶだよ、ハルちゃん」ピコがあかるくった。「あたしがヒントをすから。一緒いっしょにやろう!」

ハルはうなずいた。

「うん。こう」

* * *
第一の扉の前に立つハル

しろなか薄暗うすぐらく、きりがところどころにただよっていた。

最初さいしょとびらまえいた。とびらにはおおきな文字もじ問題もんだいかんでいた。

🚪 第一だいいちとびら
12 ÷ 3 = ?
12このリンゴを 3にんおなかずずつけると、ひとりなんこ?

ハルはほっとした。これならっている。

「12こを3にんけるんだから……ひとり4こ!」

ぴかっ!

むね算数石さんすうせきがほのかにひかった。とびらにかかっていたきりがすうっとれ、ゆっくりとひらいた。

「やった!」

「すごいすごい!」ピコがをたたいた。

ワリンもすこしだけ笑顔えがおになった。

「ありがとう……でも、つぎはもっとむずかしくなるよ」

* * *

ふたとびらいた。

こんどはきりい。とびらかれた問題もんだいも、すこしかすんでえた。

🚪 第二だいにとびら
23 ÷ 4 = ?
23ぽん鉛筆えんぴつを 4にんおなかずずつくばると?

ハルはまゆをひそめた。

「23÷4……れない、よね?」

「そう、あまりがるわりざんだよ」ピコがった。「ヒントをすね。4のだんの九九くくおもしてみて。23に一番いちばんちかくて、23をえないかずは?」

ハルはゆびりながらかんがえた。

「4×1=4、4×2=8、4×3=12、4×4=16、4×5=20、4×6=24……あ、24はえちゃう。だから4×5=20が一番いちばんちかい!」

「そうだよ! じゃあ、23から20をくと?」

「3! ……ってことは、23÷4=5あまり3!」

ぱあああっ!

算数石さんすうせきまえよりもつよかがやいた。とびらにまとわりついていたきりばされ、とびらおおきくひらいた。

「ハルちゃん、やるじゃん!」ピコがうれしそうに回転かいてんした。

ワリンは安心あんしんしたようにほそめた。

「あまりがてもあわてなかったね。大事だいじなのは、かけるかずをちょうどいいところでめること。えちゃいけないんだ」

ハルはすこ自信じしんがついてきた。

* * *
最後の扉に挑むハル

最後さいごとびらまえ

きりはここが一番いちばんかった。とびら文字もじすらみにくい。ハルはをこらした。

🚪 第三だいさんとびら
50 ÷ 7 = ?
50まいがみを 7にんおなかずずつくばると?

「50÷7……」

ハルはひたいあせがにじんだ。7のだんは九九くくなかでも苦手にがてなほうだった。

「7×1=7、7×2=14……7×7=49、7×8=56……あ、56はえちゃう。だから7×7=49!」

「いいよ、いいよ!」ピコが応援おうえんした。

「50ひく49は……1。50÷7=7あまり1!」

ハルがこたえた瞬間しゅんかん

ぴかああああっ!!

算数石さんすうせきいままでで一番いちばんつよひかった。ひかりがおしろ全体ぜんたいひろがり、きり一気いっきれていった。

くずれかけていたかべもともどり、ぼやけていた数字すうじがくっきりとかびがった。風見鶏かざみどりの「÷」が金色きんいろかがやはじめた。

「おしろが……もともどってる!」

ワリンがなみだぐみながらった。

「ありがとう、ハル。きみのおかげだよ。わりざんちからもどったんだ」

* * *

しろ屋上おくじょうると、きりれたナンバーランドの景色けしきひろがっていた。

とおくにえるかずもり。そのこうに、キラキラひかかわながれている。

「ピコ、あのかわなに?」

「あれは『小数しょうすういずみ』だよ。つぎきりらさなきゃいけない場所ばしょ……なんだけど」

ピコのこえすこくらくなった。

「あそこのきりは、ここよりもっと手強てごわいっていてるの」

ハルはじっとかわつめた。

「でも、かないと。きりほうっておいたらどんどんひろがるんでしょ?」

「……うん」

ワリンがしろもんまで見送みおくりにてくれた。

「ハル、ピコ。ここはもう大丈夫だいじょうぶだから。さきすすんで。ぼくはおしろまもりながら、応援おうえんしてるよ」

「ありがとう、ワリン」

ハルはペンダントをぎゅっとにぎった。さっきまでくらかったいしが、いまはほんのりあたたかいひかりはなっている。

わりざんって、かずひとしくけるちからなんだ。れなくても、あまりをちゃんとせばいい。

ハルはちいさくうなずいた。

算数さんすうは、ちゃんとかんがえればこたえがつかる。あせらなくていい。一歩いっぽずつ、すすめばいい。

ハルとピコは、小数しょうすういずみへとつづみちあるはじめた。

📝 今話こんわのポイント

わりざんは「おなかずずつける」計算けいさんです。れないときは「あまり」がます。大切たいせつなのは、九九くく使つかって「ちょうどえないところ」をつけること。たとえば 23÷4 なら、4×5=20 が一番いちばんちかいので、こたえは 5あまり3 です。あせらずていねいにかんがえれば、きっとけますよ!

だい3「わりざんしろ最終さいしゅう決戦けっせん」へつづく〜

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